《肝腎要》

「肝腎要」ということわざ、これは実は中医学由来の言葉なのです。
中医学では、人間にとって一番大切な臓器は「肝と腎」。

中医学の「肝」は、肝臓だけでなく自律神経も筋肉系も目も、肝のエネルギーが支配します。

そして「腎」は、現代医学の腎臓の機能だけでなく、副腎などの内分泌系(ホルモン分泌)も含まれるので、髪の毛、骨、脳や脊髄の働き、性機能、更に気力や不安感までも、腎臓のエネルギーと深く関わっていると言われています。

ですから中医学では、生きるエネルギーと最も関係が深い臓器は、「腎」なのです。

世界最古の医学書「皇帝内経」によれば、その腎臓のエネルギーが急激に弱くなる年齢が男女を問わず、アラフォー世代。

少し前に「アドレナルファデーグ」(副腎疲労)という米国由来の言葉が話題になりましたが、これは現代医学では原因が分からない心身の不調の原因が、副腎のホルモンの使いすぎによって生じるという概念のこと。

その中心的年代が、アラフォー世代なのです。

アドレナルファティーグの主な症状は、ホルモンバランスの乱れ、慢性的な強い疲労感、精神不安、食欲不振、下痢、アレルギー症状等…。

これらの症状は、腎=ホルモン系だけでなく自律神経=つまり肝とも深く関わっています。

中医学では、「肝腎同源」という言葉がありますが、肝と腎は、身体の濾過装置というだけでなく、血液を調整しあい、呼吸にも影響を与え合う、いわば両方が車両の両輪のように動いて全ての身体機能を維持して、大切な心臓を守っているのです。

文字通り身体にとってはなくてはならない「肝腎かなめ」(肝心とも書く)の臓器であり、現代人の不調の要因と言われる自律神経とホルモン、この2つをそれぞれ受け持つ臓器であることが、これでお分かり頂けると思います。

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